【タクシー情報】 実は最初は地理に詳しくない方が向いているタクシー運転手
タクシードライバーって言ったらそりゃあもうGoogleマップかってくらい道に詳しくて当然だと思うでしょ。
その通りです。
でもね、どんだけ道に詳しい運転手も最初は新人。
最初のうちは道なんか知らなくて当然です。
「でも元々地元出身の人で最初から道に詳しい人だっているでしょ?」
そうかもしれません。
ただ僕に言わせると、そういう人の方が逆に危ない。
何故なら中途半端に知っている状態が一番危ないから。
例えばお客さんに新宿駅って言われたとしましょう。
新宿なんて有名な所、運転手さんは何回も行ってるかもしれません。
「分かりました~新宿駅ですね~」
軽快に道を進みますが、はて、そういえばこのお客さんは新宿駅の何口に着けて欲しいのだろう。
西口かな、東口かな、はたまた南口かな?
「お客さん、新宿駅のどちらへ?」
「西口の地下へお願いします」
地下って何!?
車で行った事ねぇ!
「あ、運転手さん、やっぱり新南口へお願いします」
新南口って何だよ!
新って何だよ新って!
新宿の新南口って何回新しくなってんだよ!
「プロドライバーなんだから新人だろうとなんだろうと道くらい知らなきゃ困る!」
こういう厳しい事を仰るお客さんもいます。
気持ちは分かります。
ごもっとも。
でもここで断言します。
それは不可能!
最初から座学の勉強で東京の道を網羅出来る人物なんていたら、もうタクシーとかやってる場合じゃないです。
とっとと捕まえて人類の未来の為に脳みそ解剖された方がいいです。
たった一つの駅でさえ、一年間の勉強で実戦に耐えうるかどうか。
お客さんを乗せる場所によってルートは無限大に増幅します。
混んでいる道、空いている道、混んでいるけど料金は安い道、混んでいるけど時間的には早い道、空いているけど料金は高い道、高速道路を使うが最も早い道、工事で通行止めになっている可能性が高いので最短だけど結果的に最も料金が高く最も時間のかかる道。
これらは実際の乗務によってでしか培われない経験。
つまり何が言いたいかというと、新人ならば開き直ってとことんお客さんに道を聞くしかない。
下手にしったかぶりをすると、必ずトラブルに発展します。
僕自身も何回かやっちゃった事がありますが、タクシー歴三ヵ月~半年くらいは若干自信もついて安っぽいプライドも出て来て、「知ってますよ~」なんつってベテランぶって走り始めた事があります。
途中から「どこ走ってんだよ!こっちは混むだろうが!」とかなんとか言われちゃってこっぴどく怒られた事も。
今まで何回か同じ行き先で同じルートを指示されてたので大丈夫だと思ったら、実は他に裏道があってそっちの方が空いていたりするんですね。
何回か行ったことがある場所でさえも、様々な特徴を持ったルートがございます。
なまじ土地勘があると、ついついこの知ったかぶりをしてしまう事に繋がるんです。
プロならば、最初のうちは知っている道でもお客さんに聞く!
これはこの業界の鉄則です。
怒られることもありますし、場合によっては降りて行っちゃう事もあります。
でもこういう時は不完全な地理案内よりも他のタクシーに任せちゃった方が良いです。
無論これならば乗車拒否等には当たりませんよ。
(こちらから他のタクシーに乗ってくださいなんて言っちゃうと乗車拒否になります)
最初にしっかり頭を下げて「ご案内頂けますでしょうか?」の一言さえ言えば、殆どのお客さんは快く道を教えてくれます。
あの大ベテランの運転手さんも、最初はそうやって覚えたのです。