【タクシーニュース】ノンスタイル井上氏の事故をタクシー運転手視点で見た場合
お笑い芸人のノンスタイル井上氏が世田谷区の若林で起こした事故。
12月11日の午後11時半という時間帯。
指定方向区分を無視して割り込んで相手のタクシーの前方に接触した案件ですね。
加えて今回は接触を認識しながらも走り去ってしまった点が深刻で、場合によっては救護義務違反を取られてしまう可能性がある訳ですね。
こうなって来ると正直悪質と言わざる負えませんね。
しかし!
しかし、僕は当事者でも無ければ間接的にすら被害を被った訳でもないような人が、日頃の鬱憤を晴らすためだけに不祥事を起こした有名人を叩くこの国の恥ずかしいイジメ気質が大嫌いなので、被害者と誠実に向き合って許しを得た後ならば、すぐにでもお仕事に復帰して頂きたいと思ってたりする訳です。
失敗をしてしまってもまたやり直せる社会であって欲しいと思うから。
僕が本当に興味があるのは井上さんの処遇などではなく、やはりこの事故の真実と背後要因なんですよ。
なんて、たまには偉そうな事を抜かすタクシーブログをやっています。
ぜつと申します。
現場の状況
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現場は僕もタクシー営業中に良く通る世田谷通り。
仕事の出番の日は何度も通ります。
自由通りへ向かう道との丁字路。
カクヤスやガスト、対面にはトヨタのディーラーがある所ですね。
この世田谷通りの現場を上り方面、つまり三軒茶屋方面に進むと右折レーンが出てきます。
基本一車線の世田谷通りは交差点や丁字路の手前で部分的に二車線の方向区分が出現する事があります。
この場所も右折する車は右寄りを、直進する車は左寄りを走る。
直進する場合、本来ならば左寄りを走らなければならなかった所、何故か右側を走っていたって事ですね。
何で?
追い抜こうとした?
追い抜く為に右側から左へまくろうとした可能性。
僕はこれは限りなくゼロに近いと思ってはいますが…。
時間帯は午後11時半という事で、交通量はある程度あるものの、上り方面で渋滞していたとは考えにくい。
道路工事があったとしても。
それに東京って意外と追い抜きって無いんです。
フェラーリだのポルシェだのアウディだのがガンガン走っていますけど、遅い車の後ろでも一車線で追い抜きかける所はまず見ませんね。
追い抜きのリスクをみんなよく分かっているからだと思います。
井上氏がまさか混んでもいない道路で無駄に追い抜きかますとも思えませんねぇ。
道を間違えた?
右折するつもりは無かったけど、同乗者と話し込んでいたり、別の事を考えていたりでついつい右折レーンに入ってしまい、慌てて直進レーンに割り込んだ。
これは最も可能性の高い理由だと思います。
世田谷区に住んでいるとの事で、ある程度道は知っていた筈。
でもそれなのに道って間違えるものなんですかね?
疲れていた?
この時期の売れっ子芸人さんはとにかく多忙でしょう。
場所と方向から推測するに、砧のTMCスタジオあたりで収録だったのでしょうか?
これは分かりませんが。
スーパーマラドーナの武智さんも同乗していたとの事ですが、誰か他に疲れていない後輩に運転を任せるとか、それこそ忙しい時期はタクシーで移動する等の対応はして欲しかった所ですね。
年末特番の収録やら生番組の出演やらが続いた状態での車の運転。
これはかなり危険です。
疲労は車の運転にモロに出ます。
しかも厄介な事に、疲れている時って自分の運転がおかしい事に自覚しないんです。
無駄に焦ったり判断力が鈍ったり危険予測を怠ったり。
こんだけ危ないのに自覚できないんです。
接触したら絶対に停まる
基本中の基本なんですが、車の運転中に何かと接触したならば、絶対に停まらないといけません。
うちのタクシー会社では、こちらが停車している状態だとしても、スレスレを歩く歩行者の傘が接触したら警察に届ける事になっています。
停車していてもですよ?
実際に交番に「停車している状態で歩行者がぶつかってそのまま去って行ってしまったんですけど、証明してください」って言いに行った事もあります
はぁ?って顔されますけど。
うちの会社は極端だとしても、これは結局何を恐れているのかと言うと、救護義務違反なんです。
流石に停車している所に肩が触れた程度で救護義務違反まで取られる事は無いと思いますけど、こちらが届け出ずに、その歩行者が車にぶつかったーなんつって警察に届けたら最悪人身事故にまでなり得ます。
それが真実じゃないとしても。
自動車はこれだけ弱いんです。
井上氏の件は車両が相手ですが、接触したのを放って置くリスクは凄まじいのです。
今回救護義務違反にまで発展するかは分かりませんが、仮になった場合、がっつり免許取り消しで数年間は再取得出来ません。
職業ドライバーならTHE ENDです。
疲れていなければちゃんと対応出来たのでは?
誰しも自分が起因の事故を起こしたら逃げたくなるのです。
でも、こと自動車事故に関しては逃げるは恥で役にも立ちません。
三十六計逃げるに如かずなんて言う孫子の兵法も、自動車事故は想定されていません。
こんな当たり前の事でも、疲れていたら判断出来なくなるんです。
疲労はそれだけ怖い。
井上氏を叩いている暇があったらこれを教訓にせよ
今回の件の被害者の方や迷惑を被った関係者が怒るのは当然の事として、その他多くの無関係の者に出来ることは、ボロクソに叩く事じゃありませんよね?
建設的な意見と感情にまかせた批判とでは大違い。
自分がこの状況ならばどういった対応をしたのか。
自分は安全運転出来ているだろうか。
自分の前に車が割り込んで来たら、燃え上がる感情を殺して譲る事が出来るだろうか。
ですよね?
毎年の事ですが、年末になって荒っぽい運転手が増えています。
感情をあらわにクラクション鳴らしたり車間を詰めてきたり。
感情を制御出来ない奴は本来車を運転して欲しくないんだけど、少なくとも自分は挑発を受けてもマイペースに口笛吹いていたいですね。
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