【タクシーネタ】白っぽい電柱を探す婆さんが厄介な話
「成城の方のね、どこだか分からない所なのよ。近くに行けば多分分かるんだけどね」
「あーじゃあ何か近くの目印みたいのを教えて頂けますか?」
「目印も特に無いのよねぇ」
なんてお婆ちゃんのお客さんがいう。
いやータフな戦いになりそうな予感。
何かちょっと、ちょっとくらいは目印あるでしょって。
少し詳しいエリアだったからさ、ちょっとした目印でもいけるって思って。
若干マイナーな目印でもピンポイントで特定出来るって思って。
いやーでもさ、まさかだよね。
まさかお婆ちゃんがどうにか余命を削って絞り出した目印がさ、"白っぽい電柱の近く"だとは思わなかったね。
ちょっとね、尊老が世間知らずの若輩者に牙を向いた形。
頂きたい。
もうちょっとだけヒントを頂きたい。
成城の白っぽい電柱っていう情報だけだと厳しい。
まず白っぽさの度合いがお婆ちゃんのさじ加減一つって部分ですよ。
ここがこの問題をより難しいものにしている訳だね。
そもそも殆どの電柱が白っぽさを名乗ってもいいくらいの白っぽさを持ってるから。
僕はほぼ全ての電柱に白っぽいという称号を与えてもいいと思ってるくらいだから。
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いやヒント下さいって言ったのはこっちですから、絞り出したお婆ちゃんの想いは踏みにじることは出来ない。
だから僕は白の度合いは聞けないよ。
「白っぽいっていうのは、明らかな、他の電柱の灰色っぽい感じとは明らかな差がある圧倒的な白なのでしょうか?」
聞けない。
馬鹿にしてる感じになっちゃうから。
本当はね。
おめーの頭が白かよ!
つってね、スパーンって頭はたいてもいい場面だと思いますよ。
あーはいはい、白っぽい電柱ですねー。
成城と言えば白っぽい電柱ですもんねー。
かっしこまりましたー!
って頭真っ白か!
スパーン!
やってもいい筈の場面。
そこはグッと堪えて。
取り敢えず駅まで行けば何となく分かるような気がするって言うもんだから、駅まで来たんですよ。
駅からなら目的地まで分かるタイプね。
ステーションマスターね。
ちぇ思ったら駅ついたのに全然分かんないって。
どうしようもねぇ。
遠い親戚に鈴木蘭々がいるっていう自慢くらいどうしようもねぇ。
「ああいった電柱の色とは全然違うんですか?」
「全く違う。白さが違う」
次のボールドのCMはこの婆さんでいいんじゃねーかってくらいの白さ推しで。
「もっとこう、大きくて、白っぽい」
「大きいんですか」
「そう。もっと大きくて白っぽくて」
白っぽさアピールはもういらん。
うんざり。
これ以上白って言うな。
「あ、そういえば何かの並木道だったかもしれない」
あれ。
ここでわりと重要なヒント出た。
やるじゃん婆さん。
最後はやる婆さんだと思ってたよ。
やり婆って呼びたい。
となると成城で有名ないちょう並木かな〜って思って通りに入ると。
「あーここ見覚えあるわ」
ナイス思い出し婆さん。
どうにかお婆さんの記憶に引っかかり始めて、狭い道で後ろからクラクション鳴らされながらゆっくり目的地確認。
無事到着。
精算を終えて降りた後に周囲を見渡すよね。
白っぽい電柱とかどこにもねーんだけど。
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おかげさまで健闘中!