【タクシーネタ】まだ到着していないのに降りちゃうお茶目さんの話
泣く子も黙る深夜の時間帯。
夜泣きの子は泣く時間帯。
もう今日は終わりかな~と車庫に戻るルートに切り替えて走っていたら、暗闇に立つ人影。
スーツ姿の男性が手を挙げているではないか。
お客さんだ。
なだれ込むように乗って来たその男性客からはお酒の臭い。
「この先なんです。すごく近いんですけどお願いします」
って。
受け答えはしっかりしている。
でも見た目はしっかりしていない。
よろよろと落ち着かず明らかに酩酊状態。
スパーンと豪快にビンタしたくなるような。
「あの~実は今のところまでタクシーで来たんですよ」
「はい」
「でもね、俺の家はもうちょっと先なんですよ」
「はい」
「俺は何であそこで降りたんですかね?」
知らねーよ!
いや僕は普段そんなに知らねーよなんて言いませんよ。
尋常じゃないくらい知らねー時くらいしか出ませんから。
僕にこれ言わせたらそりゃ大したもんですよ。
お客さんは続ける。
「いやもうだってね、このすぐ先ですよ?」
「はい」
「でも酒飲んだから歩くのもかったるいじゃないですか?」
「はい」
「何で降りたんですかね?」