【タクシーネタ】氷をボリボリ食べるお客さんの話
コンビニとかに売ってるアイスコーヒー用の氷あるじゃないですか。
カップに目一杯氷が詰まってるやつ。
あれを持って乗車してきた中年女性がいたんですよね。
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このお客さん、ちょっと変わった人って言うか、不思議な人って言うか、不思議ちゃんって言うか。
過激派って言うか。
乗車と同時に氷のカップの蓋を開けて、口に流し込んだからね。
ボリボリ。
行き先とか特に言わずにしばらくボリボリ。
ちょっとやべーなこれはって思ったけど、どうしようも無いよね。
三国志で言うと黄巾族くらいやばいなって思ったけど、迂闊に動けないよね。
様子を伺うしかない。 刺激しちゃだめな感じしたから。 黄巾族は刺激しちゃだめだから。
取り敢えず氷を食べる様子を見てた。
今は氷を食べる所を見る時だなって思って。
「これ、どこに置いたらいい?ここに置くと濡れちゃうんだけど。置き場所無いの?」
結露でびしょびしょになったカップを座席に置こうとした所でこんな事を言う。
いや、結露でビシャビシャの氷のカップ置き場は用意してなくて。
このタクシーは氷のカップ置き場が無いタイプのタクシーで。
「釣り銭置き場なら大丈夫ですけど、動き出すと倒れる可能性があるのでご注意頂ければ」
「じゃあ持っておくわ」
何なの!? 何なのこのやり取り!?
今のやり取りごっそりいらないんだけど。
「わたしね、氷食べてないと咳でちゃうのよねー」
ああ、なるほどね。 そういった意味があったのね。
何か氷を食べていないと駄目だった訳ね。
なんか安心した。
何か形容しがたい良からぬ雰囲気があって、さらに氷とか持ってたからちょっとやべー奴だと思っちゃったけど、言うほどやばくなさそう。
取り敢えず行き先を何とか聞き出したら渋谷のペットショップだとか。
おっけおっけー。 道玄坂ね。 おっけー。
向かってる最中におもむろに窓を開けるお客さん。
何をするのかと思ったら、口に含んだ氷を外にペッて吐き出したからね。
やっぱやべー奴だ!
いやまてまて。 まだ分からんじゃないか。
車内じゃなく外に吐き出す辺り、道徳的って言えなくもない。
いやー道徳的だわこれは。 そう自分に言い聞かせてた。
「わたし固い氷は嫌いなんだよねー」
やっぱやべー奴だ! 過激派のやべー奴だ!