【タクシーネタ】お婆ちゃんバリアーの強度
無線で呼ばれた先に行ってみるとね、老夫婦が待ってたんですよ。
ちょっと太った感じのお爺ちゃんと、やつれた表情のお婆ちゃん。
目的地は近所だったんですけど、そこに向かって動き出したらね、このお爺ちゃんこんな事を言い出したんですよ。
「女は怖い、女は怖い」
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これが酔ってたりすれば冗談とかなのかなって思うじゃん。
全然しらふ。
全然真顔。
ボソボソっとした口調がまぁおどろおどろしい。
稲川淳二なのかなって思ったくらい。
「あーこの年でようやくわかった…女は怖い」
いやあなたも充分怖い。
僕はあなたに一票投じたい。
あなたこそ怖さに相応しい。
「あー怖い、70歳超えてようやく分かった。女は怖い」
一人でずっとぶつぶつ呟いてて、これツイッターだったらフォロワーが蜘蛛の子散らすように消え失せる。
海外の謎のフォロワーしか残らない。
ずっとこれしかツイートしないんだもん。
「ねぇ運転手さん、女は怖いんだよ」
来た。
こっちに来てしまった。
完全に気配消してたのに。
この車は自動運転?ってくらいの、やっちゃえ日産くらいの勢いでいたのに。
「え、いや、は、はい?」
超こえー。
何されるか分かんないパターンもあるじゃんこれ。
選択肢間違えるとさ、急に暴れだすバッドエンドがありうるじゃん。
こっちはこっからガンガン好感度上げて、最終的に屋上で告白される所まで持っていくつもりでいるから。
(1)え、いや、は、はい?
(2)あ、は、はぁ、はい?
(3)え、あ、いや、はい?
この重要な場面で、屋上告白が賭かってる場面で失敗は許されないから。
どれが最も好感度あがるかな~って精査した結果、1番でした。
しかしこの女叩きは何でしょうかね。
攻撃対象が無条件に"女"っていうやたら広い所に設定している辺り、ネットで良くみるうまくいかない事を自分のせいにしたくないが為に自分と違うカテゴリーの存在を叩くパターンでしょうかね。
「え、いや、は、はい?」
まぁこれはね、訳すと「誰か助けて」なんですけど。
七夕の短冊にこう書けば良かったって今更ながら思った。
でも後出しだけど、なんとかその願いが通じたのかな。
ずっと沈黙を貫いていたお婆ちゃんが口を開く。
「あんたはもぉ~そんな事ばっか言って、運転手さん困るでしょ」
助け船だ。
完全に沈没しきってた僕に助け船が来た。
「女は怖いって事知ってるならいいんだけど知らないなら教えてあげないとだめだから」
「もーあんたはうるさいから黙ってて。疲れるわほんとに」
何このバトル。
僕をめぐって爺さん婆さんが争ってる。
僕に女は怖いという事を教えたい爺さんと、意味不明な事を運転手に言おうとしているお爺ちゃんを止めようとするお婆ちゃん。
何これ。
ただね、どっちかっつーと。
どっちかっつーとね、僕はお婆ちゃんに頑張って欲しいかな。
このお爺ちゃんはね、解き放っちゃだめなやつだから。
お婆ちゃんバリアーをぶち破ってきたらもう誰も止められない。
延々と女は怖いという事を説明される。
スト2の背景の人くらいの距離感で僕は必死にお婆ちゃん応援してる。
「何がうるさいんだ。女は怖いって事を教えないと駄目だろう」
「うるさいうるさい!もーどうしてこんな…こっちが参っちゃうわ」
「うるさいんじゃないんだよ。女は怖いから女は怖いと言うんだ」
「あーもーうるさいうるさい!」
どちらも一歩も引かず。
そんな状態で目的地に到着ですよ。
何事もなかったかのように支払いを済ませて降りて行ったけど、外でもなんか口論してた。
今日も平和だなぁ。
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